開いた問題

答えが一義的に決定するが「閉じた問題」closed task だとすると,さまざまな答えの可能性があるものは「開いた問題」open task だということができる。HotPotatoesで作るものは前者の,WebQuestは後者の例だ。
授業で学生の様子を見ていると,WebQuestの問題作りにはなかなか手こずっていたようだ。特に初めのうちはその考え方自体がよく分からない,という様子だった。無理もない,私たちの国の教育では,今までおよそ「閉じた問題」ばかりが与えられて,WebQuestのように,自分たちの体を使って調べ,自分たちの頭で考え議論し,そして自分たちの言葉で語るという「開いた問題」はほとんど取り上げられてこなかったからだ。ここに日本の教育の穴の一つがあるといっていいだろう。この数年話題に上り,そして国民の多くから理解されないままに今また葬り去られようとしている「総合的な学習」はこのLückeを埋めようとしたものだとぼくは理解している。
今日の授業でも問題になったように,「開いた問題」では「評価」が難しい。しかし,できないことではない。Portfolioがその答えの一つだろう。試しにいまこの単語でググって見たところ,「国際理解教育」でPortfoioを使っている例が出てきた。なかなか分かりやすい。
http://www.worldvillage.org/net/ed/portfolio.html
私たちになじみの少ない「開いた問題」だが,ドイツの教科書には,子供用から大人用まで,とても多く取り入れられている(WebQuestほどhandlungsorientiertではないとしても)。「外国語としてのドイツ語」教師になるための通信教育のテキストシリーズ Studieneinheiten でも,ほとんどの課題が「開いて」いる。初めは面食らうが,しかししばらく眺めていると,なるほどと思わされる。こうやってドイツ人は学ぶんだな。彼我の「学び」の差を感じる時である。(いい悪いの問題ではありませんよ。)